遠き山見ゆ |
炎天に花咲く
さるすべり
裸の幹
まがり傾く心
紅の髪差(かみざし)
行く路の
くらがりに迷ふ
旅の笠の中
53
コスモポリタン |
岩石の淋しさ
54
女郎花(おみなえし)の咲く晩
秋の夜の宿
あんどんの明かりに坐わる
虫の声はたかまり
手紙を読む
野辺の淋しき
55
散水 |
くもの巣のはる藪をのぞく
56
楢(なら)の木の青いどんぐりの淋しさ
57
さいかちの花咲く小路に迷ふ
(西脇順三郎詩集「旅人かへらず」)
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つくつく |
そんなことがあっていい
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今日は午前仕事。午後には津に行く予定だったが、やめた。
その代わり、畑にブロッコリーを植えた。
麦わらを燃やした。
そして玉ねぎの種を苗床に撒いた。
夕方、宅急便が来た。
中身は石と書いてあった。
手紙が入っていた。大きな水晶だった。
私が「山中保一さんを支援する会」の代表ということで、その石を山中さんに返してくださいと書いてある。
その方のご子息が、20年前に、山中さんの山岳スキー部の部員で、山中さんにお世話になったとあった。
しかし、ご子息は大学生になったが、病を得て入院。
そのとき、山中さんにお見舞いとしてその石をもらったという。
残念なことに、ご子息は治療の甲斐なく亡くなられた。
遺品の中のその石を思い出し、山中さんに渡したいと、送られたのだ。
なんということか、と思いすぐに山中家に走った。
山中さんは言葉を詰まらせた。
なんということ。
たくさんの生徒さんとの交流があったのだ。
しみじみと心打たれた。 合掌
手紙の最後に
「長い間の闘い。ご心労の程お察し致します。
どうぞ、よい結果で、勝ち抜かれることを、陰ながら念じております。」
とあった。
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