2016年2月17日水曜日

三好達治詩全集

2月17日(水)

赤い梅
生まれて初めて、古本をネットの通信販売で買った。三好達治詩全集。

どんな傷み具合の本だかわからないが、なにせ自分が本当に長い間欲しくてほしくてたまらなかった本が、三冊本揃いで、3000円で、三好達治の全部の詩が読めるのだから、もう、なんといい時代に生きているのかと、感動しました。
白い梅

じつは、以前二人の友人が言っていたのですが、いまは個人全集なんて、誰も買わないんですということでした。
なんでも、柳田国男全集が数万円でかえるらしいのです。
梅の林




学生時代、神田の古本屋に全集を買いに行って大型リュックに詰めて背負って帰って、毎日ラーメンを食べて読んだこと思うと、なんていい時代だと思う。

眼が見えるうちに、時間たっぷりの老人には、垂涎の書が天恵として自宅に届くなんて、いまこそ、老人の天国ではないのかしら・・・・。

茶畑の向こうにカイヅカイブキのモンスターありき
そんな、いつ届くのかなあと、本当にうれしい心待ちの、一日。
梅をみながら、ウキウキしました。

2016年2月16日火曜日

局ケ頂

2月16日(火)

きのう、山中保一さんを支援する会としては、とても大事な一日でした。
名古屋高裁に控訴理由書が提出されたのです。
一審の判決の不当なことが縷々論じられ、それが高裁の裁定を受けるのです。
代理人の先生が、一審で山中さんの訴えを棄却した判決が(われわれの目から見ても)ありうべからざる判決であったことを論証してくださったと思います。

山中さんはその控訴理由書の提出のため、自分の記憶を精一杯よみがえらせて代理人の先生に記述していただいたと思われます。
kさんの柿の木にはなんと風蘭がいっぱい

私は、そんな山中さんの超多忙な時期の一日を、山中さんに申し訳ないなあと言いながら、三重県南部の南伊勢町にある、つぼねがちょう(局ケ頂)という山に登ってきました。

2月11日です。鈴鹿から伊勢自動車道で、玉城インター、そこからサニーロードという道を走って、五か所、そこを右に、国道260号線の三浦峠のトンネルを抜けて、道行という在所で登山道入口を訪ねたら、山に詳しい人に電話してくれたその人は、今から、大江という在所にいるKさんに会って教えてもらえという。

なんだか50年前の登山の黎明期のような、おもしろい体験をした。
美喜屋さんの前でkさん夫妻とともに
Kさんは、なんと朝からお風呂に入っておられて、奥さんがちょっと待っててという。そこは、昔の街道筋で、屋号は美喜屋という、はたごの家でした。

風呂上がりのKさんは、善人のモデルというお顔の老人で、地域の有徳人でした。Kさん曰く、三浦トンネルをもどって、相賀(おうか)から登りなさい、というご託宣、それだけでした。まことに簡単明瞭でわかりやすいものでした。
さんざん田舎暮らしの気安さと、サミットは関係ないという話と、ここがいかにいいところかというお話を聞いて出発しました。

相賀の浦、愛すべき入り江
相賀浦は、まことに素晴らしい港で、人々の素朴なおだやかな浦でした。

椿が輝いていました
海坊主という臨海学校のような建物のわきから尾根にとりつき、延々ゆるやかな尾根道をピクニック。12時に山頂に着き、早速中華のフルコースを山頂レストランを開いていただく。担々麺ラーメンと五穀米のお稲荷さんと珈琲とデザートのお饅頭で、豪華昼餉をしたためる。

気持ちいい木漏れ日の道
あの突端が赤石鼻
そこから赤石鼻という岬の突端まで行って、その手前から網代浜に降りて、二つほど尾根を越えて米子浜に出て、そこから往路の尾根道まで登り返すのです。相賀に降りたのが、5時半。海の登山もなかなか手ごわいもので、相当鍛えられた登山でした。

網代浜
四人で行きました。道々山中さんの裁判のことや、これまで支援してくださった多くの方のことを思いながら歩いたりおしゃべりしたりでした。
柳子浜はきれいな砂浜でした









みんなが好きになった相賀浦の家々


2016年2月6日土曜日

遠き山見ゆ

我が庭より北を仰ぐ
2月6日(土)

三好達治を読む。

中に、一編の詩。
もう7年になるか、死んだ友人の好きだった詩、「遠き山見ゆ」。

彼は、達治の「こころざしおとろへし日に」も好きだった。

純粋な人だった、いつも含羞の人だった、毎晩ウイスキーを一本あけた人、毎晩文章を書いた。
なぜ急いで逝ったのですか。



遠き山見ゆ

遠き山見ゆ
遠き山見ゆ
ほのかなる霞のうへに
はるかにねむる遠き山
遠き山々
いま冬の日の
あたたかきわれも山路を
降りつつ見はるかすなり
かのはるかなる青き山々
いづれの国の高(たかやま)山か
麓は消えて
高嶺のみ青くけむれるかの山々
敬愛する先輩を訪ね欄の咲くを見る

彼方に遠き山は見ゆ
彼方に遠き山は見ゆ
ああなほ彼方に遠く
われはいまふとふるき日の思い出のために
なつかしき涙あふれいでんとするににたる
心をおぼゆ ゆゑはわかたね
ああげにいはれなき旅人のけふのこころよ
いま冬の日の
あたたかきわれも山路を
降りつつ見はるかすなり
はるかななる霞の奥に
彼方に遠き山は見ゆ
彼方に遠き山は見ゆ

今日、実家に老母を訪ねる、元気に暮らしていた。懐かしい故郷は猿の群れに困り果てていた。60匹の群れが大挙して押し寄せたらしい。

鈴鹿山系 入道岳

入道岳井戸谷上部
2月5日(金)

八時に不燃ごみを捨てに行く
あんまり、いい天気。
山中さんに電話する。今から山に行くけど行きませんか、と。
山中さん曰く、今もう家を出ているんです、残念ですがまた誘ってください、と。
鈴鹿山麓の村
そして、これからせめて前の晩に連絡してください、と。





それもそうやなあと思いながら、朝ご飯を済ませ、九時半に軽トラで椿神社に行き、十時に歩き始める。
入道岳山頂から左鎌ケ岳右御在所岳
井戸谷という谷ルートを登る。五合目に小さな避難小屋がある。その前を通ると、中から年配の男性が現れ、挨拶をする。



山頂で昼食筋子入りおにぎり一個

早くも馬酔木芽が膨らむ

今日はいい天気ですねと言ったが、あっと叫んでしまった。

私が非常勤で勤めている学校の先生だった。昨日も職場で打ち合わせをしていた方だ、その方が入道岳山頂から下りてこられたのと出会ったのだ。私は「佳人の奇遇ですね」と云った。

山では、思わぬ出会いがある。だからうれしい。

四方山の話をして、写真を撮りあって、又日曜日にと言って別れた。

あとは雪が少し残るぽかぽかの快晴無風の山を誰にも会わずに登って、一時に下山した。

西に綿向岳
歩きながら早春賦をうたった、ずっと歌っていた。

早春賦

春は名のみの風の寒さよ
谷の鶯歌は覚えど
時にあらずと声も立てず
時にあらずと声も立てず

氷溶け去り蘆は角ぐむ
されば時ぞと思うあやにく
今日も昨日も雪の空
今日も昨日も雪の空

春と聞かねば知らでありしを
聞けばせかるる胸の思いを
いかにせよとのこの頃か
いかにせよとのこの頃か


2016年2月3日水曜日

久しぶりです

2月3日(水)

 節分。 手巻きずしを食べた。

161

蠟梅が咲いていた
『から衣を着ていた時代の
女のへそが見たいと云った
女がある
秋の日のうらがなしさ』
      ・
      ・
      ・
『昔株屋をやっていたが
此頃は百姓にもどった男
橋のたもとで大根の種を買って
つり銭を待ちながら
へッへッと笑って云った
女は男の種を宿すというが
それは神話だ
女の中に種があんべ
男なんざ光線とかいうもんだ
蜂か風みたいなものだ』

(西脇順三郎「旅人かへらず」より)
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「秋の日のうらがなしさ」、冬に秋のことを言うのは本当にそぐわないことだ。秋には冬が思われるし、秋には春を思うし、冬に春を思うのは当然だし、夏に冬のことを思ったり語ったりしても不自然ではないが、冬に秋のことを思ったり秋の詩を読んだりするのは、一番お似合いではないということが、今日初めて分かった。どうでもいいことだが・・・・・。

それにしても、唐衣着つつなれにし・・・の時代の女のへそ、おもしろい。

『男なんざ光線とかいうもんだ 蜂か風みたいなものだ』、そうかもしれないと昔から思っていた。

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それにしても、長い間ブログを書かないできたものだ。とうに忘れられたものになっている「天声豹語」。
しばらくの間はこっそり書こうと思う。

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うっすらと雪





先週の土曜日に、あまり天気が良かったので、野登山に登った。

山中さんは、一審の不当判決を覆すべく、名古屋高裁に控訴されます。そのために、代理人の弁護士の先生が、控訴理由書を書いていただいています。

山頂でラーメンを食べた
最後には勝訴して、学校法人の山中さん校長解任と懲戒解雇が無効であるという判断をいただき、山中さんを元の地位にもどします。

どれだけ時間がかかろうとも、山中さんを支援する活動は続きます。

つばき
一歩一歩山に登るように、進んでいきます。

椿が咲いていました。誰にみてもらうために咲いているんだろう、椿を見るといつもそう思います。




今日は、8kgの夏ミカンで。マーマレードをつくりました。
この冬、三回目のジャムおじさんです。
我が家には、ジャムおばさんがいるから、
です。
とてもおいしいのです。これを売って、ある美しいものを購入するのです。
差し上げて喜んでもらうのもあります。


ジャムを煮る冬の夜業