2016年2月6日土曜日

遠き山見ゆ

我が庭より北を仰ぐ
2月6日(土)

三好達治を読む。

中に、一編の詩。
もう7年になるか、死んだ友人の好きだった詩、「遠き山見ゆ」。

彼は、達治の「こころざしおとろへし日に」も好きだった。

純粋な人だった、いつも含羞の人だった、毎晩ウイスキーを一本あけた人、毎晩文章を書いた。
なぜ急いで逝ったのですか。



遠き山見ゆ

遠き山見ゆ
遠き山見ゆ
ほのかなる霞のうへに
はるかにねむる遠き山
遠き山々
いま冬の日の
あたたかきわれも山路を
降りつつ見はるかすなり
かのはるかなる青き山々
いづれの国の高(たかやま)山か
麓は消えて
高嶺のみ青くけむれるかの山々
敬愛する先輩を訪ね欄の咲くを見る

彼方に遠き山は見ゆ
彼方に遠き山は見ゆ
ああなほ彼方に遠く
われはいまふとふるき日の思い出のために
なつかしき涙あふれいでんとするににたる
心をおぼゆ ゆゑはわかたね
ああげにいはれなき旅人のけふのこころよ
いま冬の日の
あたたかきわれも山路を
降りつつ見はるかすなり
はるかななる霞の奥に
彼方に遠き山は見ゆ
彼方に遠き山は見ゆ

今日、実家に老母を訪ねる、元気に暮らしていた。懐かしい故郷は猿の群れに困り果てていた。60匹の群れが大挙して押し寄せたらしい。

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