2015年10月20日火曜日

薬師の巻毛を数へる秋


10月16日(金)のこと

80

なんの紅葉か?
秋の日ひとり
むさし野に立つ
ぬるでの下に


81

昔の日の悲しき
埃のかかる虎杖(いたどり)
木の橋の上でふかすバット
茶屋に残るリリー


82

鬼百合の咲く
古庭の
忘らるる
こはれた如露(ジョーロ)のころがる


83
雲の水に映る頃・・・

雲の水に映る頃
影向寺の坂をのぼる
薬師の巻毛を数へる秋
すすきの中で菓子を食べる
帰りに或る寺から
安産のお札を買って
美術史の大学院生にやった
なにのたたりかかぜをひいた


(西脇順三郎詩集「旅人かへらず」)

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

なんと、今日は一気に80から83まで掲載。
80の「ぬるで」は白膠木(ぬるで・・・しろいにかわの木という意味の名前か?)という字。紅葉は真っ赤。かぶれる人もいる。

83は大好きな詩。
「雲の水に映る頃」、とか「薬師の巻き毛を数へる秋」、最高である。「美術史の大学院生」は女性だと思うが、どうだろうか。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
この日のことは、書きたくないほど忙しい日だ。



朝10時に身過ぎ世過ぎの学校勤めだ。
テストの採点を2時までぶっ続けでやる。

そこに妻が車のスターターがかからないから仕事に行けないという。急きょ帰る。そして仕事場まで送る。

帰りに、予定していた方を訪問。その方は優雅に自邸の庭の松の木の剪定をしておられた。剪定についての蘊蓄を聞く。
上がってお話を聞く。大福もちをいただきながら。
いつも楽しいお話だ。

ミカンと梨と浜から上がったばかりのイワシをいただく。

帰途、友人の風邪をひいたのを見舞う。

帰ったら、もう客人が来ていた。「山中さんを支援する会」のメンバーの一人だ。その晩は三人で明日の会議の資料を作る。

その客人はヘビースモーカーであり、我が家の久々の燻し・除虫・虫送りの行事だ。

たばこのたたりかかぜをひいた。







0 件のコメント:

コメントを投稿