89
吉備津神社で40年ぶりに再会。合計260才。足取りが・・・。 |
むさし野の小路に
国定の描いたやうな
眼のつりあがった女
に出会ふ
何事か秋の葉の思ひ
今宵の夢にみる
くちた木の橋に
あかのまんまの色あせる
90
渡し場に
しゃがむ女の
淋しき
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89は、「国定の描いたやうな 眼のつりあがった女」というのが、昔から
印象に残っていた。その小路の奥には、かならずや、かかる女がいて、所帯を切り盛りしているのだ。冬を前に、綿入れも作るだろうし、砧も打っているだろう。永遠の営みの健気さ。
90は、それこそ永遠に存在の淋しさを言葉にしたものと思う。「渡し場に しゃがむ女の 淋しき」 ああ、何にしても男が渡し場にしゃがんでいても絵にも何にもならない。女は偉大なのだ。
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吉備津神社 |
吉備津神社600年の大イチョウ |
その友達のベンツに乗って、吉備津神社を訪ねる。「雨月物語」の吉備津の釜があった。長い回廊が良かった。本殿の屋根も素晴らしかった。
それから、吉備の国分寺の五重塔を訪ねる。よかった。
吉備国分寺五重塔 |
そして雪舟が小僧として修行していた宝福寺に行った。叱られて柱にしばられて涙でネズミの絵を描いたという、そんな石像があった。
宝福寺の黄葉 |
ねずみと雪舟さん。まんまる・・。 |
どこも秋のたたずまいが横溢していた。その夜は、苫田温泉にとまる。ラドン温泉が良かった。
かくて、長い時をへだてた懸隔も40年分一気に消し飛んで、昔日のごとき一日は終わったのだった。
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