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| エンドウ芽を出す |
八月の末頃
海からあがり
或る町を歩いた
プラタヌスの葉が
黄色く街路に落ちてゐた
旅役者がカフェの椅子に
よりかかって何も註文もせず
休んでゐた
裏通りを歩いてみると
流行しだした模様入りのハンカチフを
売つてゐた
チャップリンがかかつてゐた
仏蘭西で字初めて仏蘭西語の小説を買つた
坂をのぼって行くと
海がうすみどりに光つてゐる
のぼりきつたところに
カンナの花の咲いてゐる家がある
はいつてみると
としまの女がだまつて
メーテルリンクの「蜜蜂の巣の精神」とか
いふ本を読んでゐた
何かまちがつてゐるのではなかつたか
時間がなかつたので
馬車に乗つて帰つた
ヴィーナスの頭のついた古銭を
くれる約束した若いギリシャ人が
舎利の壺に罌麦(なでしこ)をたてたやうな
顔をして笑つた
(西脇順三郎詩集「旅人かへらず」)
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| なんとすだちのあめにぬれつつ |
簡素で、本質だけで、余計なもののない・・・、詩的なものとはそんなものじゃないのかなあ。
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玉ねぎの苗を植える。
「山中保一さんを支援する会」として、判決の12月10に傍聴に来てくださるよう依頼の往復はがきを作った。明日投函しよう。
7年前に四国をお遍路して歩いていた時にお出合いした方から、メールが来た。
| なんとユズまで雨に洗われて |
その方は裸一貫でご自分の会社を創設して、経営は後進に譲り、今や豊かな富山湾を育てる会の会長さんだ。
今年9月に久しぶりにお会いして、私の、山中さんの裁判支援の活動の話を聞いてくださり、
お渡しした資料を翌日一日ですべて読んでくださって、
「北川さんもあほですなー」と言ってくださった方だ。
「ほんまにおれはあほやなあー」と思った。
しかし、その方も「私もあほですからー」わっはっはとお笑いになった。
その方は、今も、三つのNPOを主宰し、富山湾の研究をしておられ、海にさかなのすみかになる藻の種を播いておられる、藻咲かせ爺さんである。
| 楚々として白さざんかのあめにぬれ |
ちなみに、四国お遍路を歩いて7回まわられた方である。
「大愚」というに近いお方である。
世の中には偉い人はいっぱいおられるのだ。
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