2015年11月9日月曜日

垂れ込めても心は地中海


110
エンドウ芽を出す

八月の末頃
海からあがり
或る町を歩いた
プラタヌスの葉が
黄色く街路に落ちてゐた
旅役者がカフェの椅子に
よりかかって何も註文もせず
休んでゐた
裏通りを歩いてみると
流行しだした模様入りのハンカチフを
売つてゐた
チャップリンがかかつてゐた
仏蘭西で字初めて仏蘭西語の小説を買つた
坂をのぼって行くと
海がうすみどりに光つてゐる
のぼりきつたところに
カンナの花の咲いてゐる家がある
はいつてみると
としまの女がだまつて
メーテルリンクの「蜜蜂の巣の精神」とか
いふ本を読んでゐた
何かまちがつてゐるのではなかつたか
時間がなかつたので
馬車に乗つて帰つた
ヴィーナスの頭のついた古銭を
くれる約束した若いギリシャ人が
舎利の壺に罌麦(なでしこ)をたてたやうな
顔をして笑つた

(西脇順三郎詩集「旅人かへらず」)

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なんとすだちのあめにぬれつつ
この詩、いつもいつも嫋々と小生の感性(あるとすれば)に流れているものです、憧れに似たものですが・・・。
簡素で、本質だけで、余計なもののない・・・、詩的なものとはそんなものじゃないのかなあ。

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玉ねぎの苗を植える。

「山中保一さんを支援する会」として、判決の12月10に傍聴に来てくださるよう依頼の往復はがきを作った。明日投函しよう。

7年前に四国をお遍路して歩いていた時にお出合いした方から、メールが来た。
なんとユズまで雨に洗われて
山中保一さんの支援のカレーを注文してくださったのだ。
その方は裸一貫でご自分の会社を創設して、経営は後進に譲り、今や豊かな富山湾を育てる会の会長さんだ。




今年9月に久しぶりにお会いして、私の、山中さんの裁判支援の活動の話を聞いてくださり、
お渡しした資料を翌日一日ですべて読んでくださって、
「北川さんもあほですなー」と言ってくださった方だ。
「ほんまにおれはあほやなあー」と思った。
しかし、その方も「私もあほですからー」わっはっはとお笑いになった。

その方は、今も、三つのNPOを主宰し、富山湾の研究をしておられ、海にさかなのすみかになる藻の種を播いておられる、藻咲かせ爺さんである。
楚々として白さざんかのあめにぬれ
ヨガに講演に講師にと、活動の75才である。

ちなみに、四国お遍路を歩いて7回まわられた方である。
「大愚」というに近いお方である。

世の中には偉い人はいっぱいおられるのだ。








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